結論:紫斑は「全身不安定」「血小板」「凝固」「触知性」で分ける

紫斑は血液が血管外へ漏れた、圧迫しても消えない皮疹です。最初に敗血症、DIC、TTP、重篤な出血、急速進行性血管炎を除外します。その後、CBCと末梢血塗抹、PT-INR、APTT、フィブリノゲン、FDP/D-dimerを軸に、血小板異常・凝固異常・血管炎へ分けます。

触知性紫斑は小血管炎を示唆しますが、触れないから血管炎を否定できるわけではありません。皮疹だけで完結せず、腎、消化管、肺、神経の臓器障害を探します。

最初の10分で行うこと

  1. ABC、体温、血圧、意識、ショックを確認する
  2. 透明板や指で圧迫し、退色しないことを確認する
  3. 皮疹の大きさ、分布、左右差、触知、壊死、水疱、疼痛を記録する
  4. 鼻出血、歯肉出血、血尿、下血、月経過多、頭痛を聞く
  5. 発熱、腹痛、関節痛、血尿、呼吸器・神経症状を確認する
  6. CBC・塗抹、PT-INR、APTT、フィブリノゲン、FDP/D-dimer、腎機能、尿検査を提出する
  7. 薬剤開始、感染、ワクチン、自己免疫疾患、肝疾患、家族歴を確認する

レッドフラッグ:今すぐ上級医・専門科へつなぐ所見

  • 発熱、ショック、急速に広がる紫斑・壊死
  • 意識障害、激しい頭痛、髄膜刺激徴候
  • 血小板減少+溶血所見+神経・腎障害
  • PT/APTT延長、フィブリノゲン低下、FDP上昇を伴う出血
  • 喀血、低酸素、急速な腎機能悪化
  • 消化管出血、強い腹痛、精巣痛

血小板減少と破砕赤血球を伴うTTP疑いでは、確定検査を待たず血液内科へ緊急相談します。

検査で3群に分ける

パターン 主な候補 次の一手
血小板低下、凝固ほぼ正常 ITP、TTP、薬剤、感染、骨髄疾患 塗抹、溶血、薬歴、血液内科
PT/APTT異常 DIC、肝障害、抗凝固薬、凝固因子異常 フィブリノゲン、FDP、肝機能、薬剤
血小板・凝固ほぼ正常 血管炎、血管脆弱性、塞栓 尿、臓器評価、皮膚生検

血小板凝集による偽性血小板減少もあるため、予想外の低値では塗抹と再採血を確認します。

触知性紫斑なら血管炎を考える

下肢優位の触知性紫斑では、IgA血管炎、ANCA関連血管炎、クリオグロブリン血症性血管炎、薬剤・感染関連の皮膚小血管炎を考えます。

皮膚生検は病変の選び方と時期が重要です。通常組織用には新鮮な活動性病変、直接免疫蛍光法にはさらに早期の一部退色する斑を選ぶという国際コンセンサスがあります。皮膚科と相談し、固定方法の異なる検体を適切に採取します。

IgA血管炎で忘れないフォロー

IgA血管炎は紫斑に関節、腹部、腎症状を伴います。初回尿検査が正常でも腎病変が遅れて出ることがあるため、血圧、尿蛋白・血尿、腎機能を継続評価します。成人では重い腎病変の閾値を低く見積もります。

よくある落とし穴

  • 紫色の皮疹をすべて紫斑と呼び、圧迫試験をしない
  • 血小板だけ測って凝固・塗抹・尿検査を忘れる
  • 正常なPT/APTTで血管炎や血小板機能異常を否定する
  • 触れない紫斑だから血管炎ではないと決める
  • IgA血管炎で腎フォローを終了する
  • 生検する病変の新しさとDIF検体を皮膚科へ共有しない

FAQ

点状出血と斑状出血で原因は決まりますか?

大きさは手掛かりですが決定的ではありません。分布、触知、粘膜出血、検査を合わせます。

血小板が正常なら安心ですか?

いいえ。DIC初期、凝固因子異常、血管炎、血管脆弱性、血小板機能異常が残ります。

皮膚生検はいつでも同じですか?

いいえ。病変の時期と採取部位で組織・免疫沈着の検出率が変わるため、皮膚科と事前に計画します。

適用範囲と限界

成人・年長児の新規紫斑の初期評価を想定した教育用記事です。乳幼児、妊娠、血液悪性腫瘍、既知の先天性出血性疾患では専門的評価を優先してください。