高血圧の診断に使う血圧には、医療機関で測る診察室血圧と、自宅で測る家庭血圧があります。
高血圧の診断基準
高血圧は、診察室血圧では収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上です。家庭血圧では、それぞれ5mmHg低い、収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上です。
診察室血圧と家庭血圧の一方だけが基準を満たす場合には、予後予測に優れる家庭血圧による診断を優先します。
診察室血圧だけが高い場合を白衣高血圧、診察室血圧は高くないものの診察室外血圧が高い場合を仮面高血圧といいます。
高血圧の状況と治療の意義
高血圧は、脳卒中、心臓病、腎臓病、認知症の発症リスクを高めます。高血圧を原因とする病気で、日本では年間17万人が亡くなっているとされています。
日本で高血圧の人を100人とした場合、治療中で管理できている人が27人、治療中でも管理できていない人が29人、高血圧であることを知らない、または知っていても未治療の人が44人とされています。日本の血圧管理状況は、主要経済国の中でも最下位レベルとされています。
収縮期血圧を10mmHg下げると、脳卒中と心臓病が2割減少します。また、年齢にかかわらず収縮期血圧130mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満まで下げると、それ以上の血圧管理と比べて脳卒中や心臓病が少なくなります。
降圧目標と有害事象
「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標を診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満としています。
降圧や治療薬に伴う有害事象に注意しながら治療します。有害事象には、めまい、ふらつき、倦怠感などの症候性低血圧や起立性低血圧、腎機能障害、電解質異常があります。
75歳以上では、健康・機能状態によるカテゴリー分類と降圧指針も提案されています。フレイル、要介護などの全般的状態、手段的ADL、基本的ADLから降圧目標を検討します。
生活習慣の改善
生活習慣の改善によって血圧を下げられるとされています。具体的には、減塩、運動、肥満の是正、節酒です。
日本人の食塩摂取量は世界的にも多く、1日10gとされています。高血圧の人では、1日の食塩摂取量を6g未満とすることが目標です。
薬物療法
降圧薬は安価で安全であり、多くの場合、副作用よりも血圧を下げる利益の方が大きいとされています。目標血圧に達するためには、多くの場合、2種類以上の薬剤が必要です。異なる種類の降圧薬を併用する方が、一種類の薬剤を増量するよりも降圧効果が大きく、副作用を抑えられるとされています。
ガイドラインでは、脳心血管病リスクと高血圧の重症度で場合分けし、降圧薬をグループに分けて、薬物療法の進め方をフローチャートにまとめています。
家庭血圧の測り方
家庭血圧の測定は、高血圧の診断と治療に役立ちます。血圧は変動しやすいため、1日2回、朝と晩など毎日同じ時間に測ります。1回につき2度測定し、その平均値を記録します。
朝は排尿を済ませ、食事の前に測定します。夜は食事や入浴の直後を避け、就寝前に椅子へ座って少し落ち着いてから測定します。血圧手帳やアプリに記録し、診察時に持参します。
二次性高血圧
高血圧の中には、特定の疾患や病態によって引き起こされる二次性高血圧が隠れており、少なくとも高血圧患者の10%以上に上るともいわれています。治療方針が変わる場合があるため、二次性高血圧も念頭に置きます。